NICT Beyond5G研究開発推進ユニット

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Sakuraとまなぶ!

NICTの研究編

vol.3 超高速で世界がつながる!?(テラヘルツ通信)

Sakuraお姉ちゃん、前に話していたテラヘルツ通信だけど、NICTではどういった研究がされているの?

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じゃあ今回は、テラヘルツ通信についてNICTで行われている研究をいくつか紹介するね!まずは、通信実験の研究についてだよ。2021年に超小型アンテナを使って300 GHz帯で17.5 Gbpsの速度の通信実験に成功したみたいよ。下の写真の赤い矢印が指している白い部分がその小型アンテナだよ。開口面積が1.8 mm²で、スマートフォンに搭載できるような非常に小さいサイズで作られているそうよ!

伝送実験の写真

※[出典] NICT公式HP https: //www.nict.go.jp/press/2021/01/13-1.html

すごく小さなアンテナだね!小さなアンテナを作るうえで大変なところってあるの?

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テラヘルツ通信の電磁波は波長が短いから波長に対して大きなアンテナが作りやすくなる特徴があるよ。ただし、波長が短いと空気中で弱くなりやすいから、効率よく信号を集めるためにアンテナの開口面積(受け皿)を少し大きくしてあげる必要があるんだよ。下の図の青い線が従来のアンテナの開口面積とアンテナ利得(効率の良さ)の関係性を示していて、オレンジ色の星マークが今回開発されたアンテナの特性を示しているよ。

アンテナの開口面積と利得

開口面積が小さいのに、効率の良いアンテナをどうやって作ったんだろう?

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このアンテナは、電気を通しにくいけど、電気を「ためこむ」ことができる「誘電体」という物質に光を当てると、その光を集める仕組みを使って作られているんだ。それをテラヘルツ通信に応用することで、小さくても電磁波をしっかり受け取れるようにしているんだよ。

へぇ、光の仕組みをテラヘルツ通信にも使っているんだね!他にもテラヘルツ通信機器に関する研究ってあるの?

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もちろん他にも多くの研究が進められているよ。 例えば、高周波用の導波管(電磁波を通す管)を製作し、その伝送特性を実測した研究も行われているよ!この研究によって「ニオブ」という超伝導金属(とても低い温度になると電気抵抗がゼロになる特性を持つ金属)を導波管に用いると伝送損失が従来の金属より大幅に小さくなることを明らかにしたんだ。この結果は、従来予想されていたものとは大きく異なっていて、実際に導波管を製作して測定したからこそ発見できたんだよ!

※[出典] NICT公式HP https://www.nict.go.jp/press/2023/10/10-1.html


それから、テラヘルツ通信用デバイスに使う材料をしっかりチェックするために、特別な計測も必要なんだ。例えば、「絶縁体」っていう電気が通らない物質に電圧をかけたとき、その物質がどんなふうに反応するか示す「誘電率」を正確に測る研究もしているよ。

誘電率測定系の写真

※[出典] NICT公式HP https://www.nict.go.jp/press/2023/08/08-1.html

いろんな材料の性質を調べるのってすごく大変そうだね。でも、これらの研究が進んで、僕たちもテラヘルツ通信を使えるようになったら、どんなことができるようになるのかな?

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そうね、テラヘルツ通信を使うことで、映像だけでなく様々な情報を高速かつ大量に送ることができるようになるから、今よりもっとリアルタイムに多くの情報が得られるようになると思うよ。例えば、医療分野では、遠隔診断や手術支援が進化し、医師がリアルタイムで患者の状態を把握して迅速な治療が可能になるかもしれないね。また、交通分野では、自動運転車が周囲の情報をリアルタイムで受け取り、事故を未然に防ぐことができるようになるかもね!テラヘルツ通信は、こうした様々な分野での発展を支える大きな要素になるんじゃないかな。

とっても便利な社会になりそうだね!

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とってもわくわくするよね!これからも一緒に学んでいこうね!

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