SDGsの達成やSociety 5.0の実現のためには次世代情報通信基盤であるBeyond 5G/6Gが必須である。この際、Beyond 5G/6Gに求められる機能はフィジカル空間からサイバー空間に至るまで広範囲に渡ることから、各機能を適材適所で組み合わせることにより、新たなサービスの創成が期待できる。このことから、Beyond 5G/6Gには多様な機能群の受け皿としてオープンなプラットフォームとしての特徴を持ち、社会インフラとして持続的に成長できる仕組みを担保することが重要である。この観点からBeyond 5G/6Gの機能アーキテクチャを設計していく必要がある(図A)。
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フィジカル空間では、従来の地上系モバイルネットワークだけでなく、衛星系ネットワークやマルチコア光ネットワークなどを組み合わせることで柔軟で拡張性のある通信環境が提供される。サイバー空間では、アプリケーションに応じて多様な空間が併存し、蓄積された過去データや将来の予想などの情報処理を行なう。Beyond 5G/6G時代には、これらフィジカル空間とサイバー空間の双方において時間や空間が高度に制御され、両空間が融合することで、これまでフィジカル空間だけでは実現が出来なかったことが可能となる。融合したフィジカル空間とサイバー空間をまたいで実行可能になるサービスは、様々な社会課題の解決にも役立つことが期待される。
本ホワイトペーパーの3章では、2030年以降の社会生活をイメージした4つのシナリオといくつかのユースケースを紹介する。アバターを高度に活用する社会を描く「Cybernetic Avatar Society」、人間活動が月まで広がった社会を描く「月面都市」、時空間同期が実現した社会を描く「時空を超えて」、サイバーお悩み相談室の診断事例を描く「サイバー世界の光と影」のシナリオ例のイメージを図Bに示す。これらのシナリオに描かれた未来社会からバックキャストすることで必要となる要素技術を洗い出すとことを試み、4章に整理して示している。また、研究開発やサービス創成に求められる研究開発オープンプラットフォームとして5章に、標準化活動・Beyond 5G研究開発促進事業の状況について6章にまとめている。
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このホワイトペーパーは、情報通信技術のエキスパート集団としてのNICTがBeyond 5G/6G世界の実現に向けて議論した結果を示したものである。今後は、これを基に多くの皆様と議論を重ねていきたい。